『……止まれ』

俺が走り出すと同時にランドがブレスを吐いてきた。

黄色のブレス。今日フィソラが吐いていた物と同じ……。

麻痺ブレスなら、当たってもダメージはないな。いっそこれに当たっておこうか……。

いや、動けなくなったところをたこ殴りにされるのが落ちだ!

それに、俺はまだあきらめてない。

絶対アイリスの風呂を覗いてみせる!

「さっさと逃げなさいよ。逃げる獲物を追い詰めるのが楽しいんじゃないの!」

「笑顔でさらりと怖い事言うな!」

とりあえず、風呂場めがけて逃げる。

もし生きてたどり着いたなら、追いかけられていたと言い訳しつつ風呂に飛び込むという夢の展開も……。

「お望みどおり逃げてやるさ!」

『無理だ』

走り出したが………足音がしない……。走りつつ後ろを振り向くと、一歩も動いていない。

亀みたいなかっこだけにのろいのか?

「追いかけなくていいのか?俺は鬼ごっこで負けた事がないんだぜ」

昔から、逃げ足も速かったからな……。

「あらあなたも?わたしの場合一人も逃がした事がないのよね〜」

鬼で無敗……。逃げ切るより数段難しいな……。

四方八方に逃げた奴全員どこにいるか捜さなければならない。

その状態で無敗記録を作るなら、高い探索能力が必要だ!

その上、逃げる奴は障害物で回避ができる上に、急な方向転換でかく乱してくる。

追いかける側は、常にそれに付き合いつつ素早い判断と、高い運動神経が要求される。

とてもじゃないが、無敗記録は……難しい。

「嘘をつけ!動いてない奴に俺が捕まるかよ!」

嘘に決まってる。大体捕まえにも来ないくせに、何が無敗だ。

「簡単に捕まったらつまらないでしょ。獲物を泳がせて、弱ったところを仕留めるのがわたしのやり方!」

笑って言う事じゃないだろ!

「随分悪い趣味だな………」
聞こえないように小声で言った。こんなのが聞こえたらえらい目に遭う。

「わたしの趣味にどうこう言える立場?変質者さん!」

やば!聞こえた!?この距離だぞ!

「行くわよ!」

来るな!

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