まず最初にアイリスの家に向かった。

荷物は全部アイリスの家に置いてある。双眼鏡はその中だ。

家に入ると、すぐに見つかった。

少しも動かした後がない。俺が居ない間少しも触らなかったようだ。

双眼鏡を取り出し、また走る。後は風呂の近くの茂みに隠れればいい。

そうすりゃ目の前は天国だ!

「こんなところに居たのね!ギル……何とか!」

後ろから声がする。ギル何とかってのは俺のことだよな?

後ろを見るとシリアがいた。

片腕を腰に当てて、胸を張って……。かなり偉そうに見える。

「何でこのわたしが、わざわざあなたを探さないといけないのよ!あなたが来なさい!」

だから……どうしていきなりそうなるんだ!

「俺から会いに行く必要がないからだろ?急いでるんだ、もう行くぜ」

また走ろうとした……が……

「いいのかしら〜?レグルスの事、全部知ってるのよ」
「………」

やばい…………、あの男連中は痛い目に遭ったから、大丈夫だとして……

この女は……

「ちょっと付き合ってよ。嫌とは言えないわよね?」

着いて行くしかないか……ああ、アイリスの風呂が遠ざかる……。

「どうしても。……今行かないと駄目か?」

「いいのかしら?……そんなこと言っちゃって」

微笑んだまま俺に近づく……アイリスと違って……笑顔が怖い。

「向こうにいいところがあるの。人も来ないし、ゆっくり話せるわ。

それともう1つ、私のドラゴンが見張ってるから逃げられないわよ……」

「どうしてそんなに、完璧な包囲網が……」

「逃げて欲しくないから。それ以外にある?」

それだけでドラゴンと、脅しを使うな!

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