なんだ?随分騒がしい……。
目を開けた。ベッドに寝ている……。なんでだ?
『よう!目が覚めたみたいだな、倒れたんだぜ!おぼえてっか?』
ドアの近くで、ドラゴン。俺を助けてくれたスカイとかいうワイバーンが、鳴いた。
何を言ってるんだ?アイリスだったら分かるんだろうな。
『そうか!そういやそうだった。おれっちとした事が大事な事忘れてたぜ!
一般人にゃ、ドラゴンの声は聞こえねえよな!いや〜すまねえ、すまねえ』
また鳴いた。このペースだと、随分多く喋っている。おしゃべりなのか、大事な事なのか。
アイリスが居てくれれば……。
……大事な事、アイリス……スカイは、長老のパートナー……。
頭のもやが全部晴れた!飛び起きて靴を履く。すぐにでも長老のところに言って話を聞かないと!
『おいおい、また逃げ出すつもりか?ゆっくり休みな、話はアイリスだけでも十分だからよ!』
スカイがドアの前からどいてくれない。また俺を出さない気か……。
「どけ、スカイ!アイリス一人に、重荷を背負わせるわけには行かないだろ!」
何か大事な話し合いが、隣の部屋では行われている。
村を出る前に話さなければならない事。それもエンシェントドラゴンを操る、アイリスに……。
一人で背負うのは……重すぎる事だってきっとある。そんな時に力になれないでどうする!
「どかないなら!力づくでどいてもらうぞ!」
事は一刻を争う。こうしている間にも、次々と話されているはずだ。
『あ〜そうかよ!おれっちへの恩は仇で返すってわけかよ?どこまでもふざけてんな。え!』
ワイバーンが牙をむく。やっぱりこっちの話は通じている。喧嘩を売ったのも分かっているはずだ。
こんな事したくないが、出してくれないなら仕方ない。何より優先する事がある。
アイリスが、これ以上一人で悩む必要はない!今は俺がいる!
「そこをどけ!スカイ!」
拳を一撃だけ、翼に当てた。怪我どころか……跳ね返された。やっぱり俺が、剣も抜かずにドラゴンに勝つのは……
『うお〜や〜ら〜れ〜た〜!』
スカイが床に倒れた。
……とにかくチャンスだ。ドアを開けて部屋に入った。
『まったくよ!それだけ嬢ちゃんが大事なら、気絶するなっての!
……頼んだぜ……』
ドアを閉めた時、またスカイの鳴き声が聞こえた。
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