「では、そろそろ真面目に話すとしよう。まずあの宝玉は、フィソラの能力を目覚めさせる物。
これがどういうことか分かるか?」
フィソラの力を目覚めさせる。力の源は、宝玉には無いってこと!?
それなら!
「気づいたようじゃな。そうじゃ、玉を失っても力の源はエンシェントドラゴンが持っておる。
玉を使わない変身を可能にするのは、主人の力。そなたの力じゃ」
「でもそれだけだったら、玉を失くさなければいいのでは?」
宝玉さえ持っていれば、その力は役に立たない。
私は無くし物をした事が無いし、きっと大丈夫。
「宝玉によって得る力は、真の力ではない。はっきり言おう。
宝玉によって得る力は、本当の力の半分ほどでしかない」
声がでない。あのフィソラの力はほんの一部。
フィソラは、ヴリトラの攻撃を受けても無傷だった。あれだけの力が……。
「ウロボス様。またそんな冗談を!
私は、寂しくなんて無いですし、元気付ける必要は……」
ウロボス様の表情は、いつもの笑顔じゃなかった。真剣そのもの。
「それだけの力を、フィソラは持っているんですね」
私が強くなれば、フィソラも強くなってくれる。
私に力があれば、ギルバートに迷惑もかけない。
私は守られるより、彼の力になりたい。
「重大さは分かったじゃろう。愚かな行為ではあったが、それをすべて知っておれば、村人の行動も理解できんでもない
仮にレグルスのような者ではなく、悪そのものがそれだけの力を得たとするならば、……誰もが確信するじゃろう。
世界は滅びる……と。
それだけの力を正しく導く。それが……そなたとレグルスの宿命じゃ」
「分かりました……」
「ふむ。随分と話したが、わしに言わせるならば簡単な事じゃ」
簡単って……、世界がかかわっているのに?
「力をコントロールし、フィソラを守る。無理は言っておらんはずじゃ。
なぜなら、フィソラ自身がアイリス。そなたを選んだのじゃからな。それだけの力も持っておる。
それに、ほれ!あそこの部屋には新しい恋人が寝ておるではないか。力になってくれるであろう」
ウロボス様が指差したのは、ギルバートが運ばれた部屋!
「恋人じゃありません!」
そうに決まってるじゃない!彼を信用してるけど、私が好きなのはレグルス。
彼なんてレグルスに比べたら、かっこよさは月とすっぽん。勝ち方もだまし討ち。
そりゃ……優しくて、頼りがいもあって、信頼できて、守ってくれるけど……。
「図星のようじゃな!真っ赤じゃぞ!昔から分かりやすいの〜」
「違いますってば!」
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