「ちょっと!ギルバート、大丈夫!?」
返事が無い。まさか……
「さっきの約束をもう破る気!死んだら許さないから!」
さっきパートナーになるって言ったのに!
「大丈夫じゃ。むしろ、こうでなくてはおかしい……」
こうでないとおかしいって?
「どういうことですか?」
「ヴリトラのブレスはからだの内部に直接ダメージを与える。
3度も受けて、生きているのも奇跡じゃ。休んだとはいえ、戦える状態ではなかった」
そんな、あの時はあんなに……。立派に戦ってたのに……
「そなたを守りたかったのじゃろうな。体は当に限界を超えておるはずじゃ。
気が抜けただけで、こんなにも簡単に気絶してしまうほどに……。
命に別状は無いが……、動けないはずじゃ」
私を助けた時、本当なら寝てないといけなかった……。私を守るために……、その状態で戦ってくれた……。
『認めざるを得ないな。彼はその状態でも逃げなかった……。
十分に信頼できる男だ』
「その通りね……。でも無茶しすぎよ……馬鹿……」
また涙があふれてきた。
悲しいんじゃない……嬉しい……。
これから私と一緒に居てくれる人が、こんなにもいい人だなんて……。
「そろそろ、この男を動かした方がいいじゃろうな。
スカイ、ギルバート殿をわしのベッドへ」
そういうと、私の目の前に一瞬だけ竜巻が現れた。
それが消えると、一体のドラゴンがいた。
体は緑色、短い脚、長い尾。腕は翼と一体化している
ワイバーンと呼ばれる種族。風属性の中級ドラゴン。
『よう嬢ちゃん!久しぶりだな!』
「ええ、久しぶりねスカイ」
スカイに会うのは何年ぶりかしら、小さいときに見て以来ほとんど会ってなかった。
昔と全然変わってない……長老様より明るいドラゴンに驚いたっけ……。
『それにしてもこいつ、俺っちの警護から逃げるたあな……
自分の体をどう思ってやがんだ?』
本当に……もう少し自分を大事にしてくれないと……。
私に心配かけないでよね。
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