小屋の外に出ると、まるで上がれというように木の台がおいてあった。
フィソラとヴリトラは後ろに居てもらうとして、俺たち全員が上がれそうだ。
最初に長老が上がり、その後ろをレグルス、アイリス、俺が続いていく。
「皆の者に話すことがあり、急遽集会を開いた!」
長老が話し始めた。
さっきまで明るい口調だったが、さすがだ。話し始めてからの姿は威厳がある。
「この度の事件、犯人はアイリスじゃ」
レグルスの罪をすべてかぶる気か!?
周りが騒ぎ出す。
「今度こそ出て行ってくれるんだろうな!」「とりあえず一人片付いた。やれやれだ」
「そういう奴だと思ったよ」
こいつら……。信じられないとか、そんな風に思う奴は居ないのか!
「静かに!静かにせんか!」
長老がどなると、また静かになった。
「アイリスは我等を一人残らず虐殺し、ドラゴンを奪う気じゃった!」
なんだそれ!罪をかぶるだけじゃなかったのか!
レグルスも、アイリスの顔を見ていた。呆然としている。
さすがに、ここまで予想できなかったか……。
「そのうえ……」
まだあるのか!
「自分に従うドラゴンを集め、ドラゴンの軍隊を作る気じゃった!」
やりすぎだアイリス!こんな話信じる奴が……
「やっぱりか!さっき村を荒らしていたしなー」「そうだ!さっきので何人か殺す気だったに違いない!」
……いたか……。この村の連中は、もしかしてボケているのか?
「さらに!」
は!?まだあるのか!?
「その軍隊を利用し、この世界を支配する気だったようじゃ!」
あ〜、もう駄目だ。信じる奴がどうかしてる……
「そこまで悪い奴だったか……」「もっと速く村を追い出すべきじゃったな!」
………この村の連中って……。
ていうより、誰か一人ぐらい否定する奴いないのか!
「この情報は、ギルバート殿がその身を挺して、わしに伝えてくれた。
そして極悪非道のアイリスを止めたのは
扱いの難しいヴァイスドラゴンをたくみに操るこの青年!
レグルスじゃ!」
……全部読めた……。自分を究極の悪人に仕立て上げた上で、レグルスを英雄にする。
自分が追い出されるのを覚悟の上で……。
これなら確かに、レグルスが幸せになる。
ただし、アイリスは……間違いなく追放……。
「あいつ、化け物って言われてた奴だよな……」「本当に村を守ったのか?」
ここで疑うなよ!どれだけ失礼なやつらなんだ!
「これより一日、レグルスをたたえ祭りを開く。
アイリスはわしの小屋に閉じ込め、明日の朝村から追い出すものとする!以上じゃ!」
「何を言ってるんですか長老!今すぐ追い出すべきです!
それ以前に、追放だけで済ます気でいるのですか!?」
若い男が俺たちの目の前で叫ぶ。よりによって、俺のすぐ目の前だ
あの村人を今すぐ黙らせてやりたい!アイリスがどんな気持ちでこの作戦を選んだか!
ずっと仲良く暮らすのが夢だったのに!その夢を捨ててレグルスを幸せにしたんだぞ!
一日ぐらい別にいいだろ!しかも、それ以上何かする気か!
ふざけるな、くそやろう!アイリスに止められてなかったらすぐにでも、黙らせてやったってのに!
俺は見ているしかないのか……。くそ!
「黙りなさいよ!そこのブス男!」
悪党三人組の一人。シリアの声が響いた。
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