「最も強く、最も硬き鉱物の王よ、最も輝き、最も気高き金の王よ。
今一つになりて、敵の攻撃を防ぐ究極の楯とならん 出でよ最強の楯 “アブソリュートプロテクション”」
アイリスの声、同時に俺の目の前に巨大な楯が出現する。視界を埋め尽くすほどの大きな楯。
ヘルブレイズがぶつかる。楯が燃え上がった!
命中と同時に破壊され消える。あれだけ強そうな楯が……。
それだけ強力な攻撃ってことか。
「速き動きの象徴よ、その動きの素早きを彼に与えたまへ “クイックウインド”」
俺の足を竜巻が包む。足が軽くなった!
「素早さアップの呪文よ。それでしばらく耐えて!」
これで攻撃に行ける。避けられないうちは、さっきの攻撃に突っ込むべきじゃない。
「それから、その剣できるだけ使わないで!彼に大怪我なんかさせたら、絶対パートナーにならないから!」
随分のんきだな……あれの後だぞ……
「無茶言うな!またあれが来たらどうする!」
「そのための私でしょ!」
アイリスが微笑む。……そうだな……ぎりぎりながらも防いでくれた。
アイリスが、俺が死ぬかもしれない事をするとも思えない。信じよう!
「わかった。その代わり、怪我させなかったらパートナーの件、考えてくれよ!」
「もちろん!」
あれ?一度断られてたけど……何でそんなにすんなりと……
まあいいか。剣を体に当てなければいいだけだからな、たぶん大丈夫だ!
「暗き闇よ その者我に仇なす者なり 光を奪い闇へと誘え ダークネスクローズ」
俺に向けて黒い物が飛んでくる。剣で斬ると霧散した。
「レグルス。この程度じゃ、俺は倒せないぜ!」
「分かっていますよ。でも、これならどうですか?
癒しをつかさどりし水よ かの者に安らぎの時を与えたまへ スリープミスト」
レグルスを中心に霧が発生した。この手の魔法は確か、吸い込んだときに効果が出る。
効果範囲に限定もない、避けるのも難しい……。
さっきの楯でも防げないだろう。さっきの魔法よりたちが悪い。
だったらいっそ……。
息を止めて、倒れた。一か八かの賭けだ!
うまくいけば、ヘルブレイズがくる前に倒せる。
「ギルバート!起きて!」
アイリスの声が聞こえる。
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