第7章:約束
「フィソラ、あれ早速使うわよ!ヴリトラをお願い!」
指輪に宝玉。琥珀を入れた。フィソラの体が再び光に包まれる。
光はすぐに消え、姿が変わったフィソラが現れた。
頭の水晶の1つ、緑色の水晶だけが光り輝いている。体は薄い緑色に変わり、鱗がひび割れている。
「フィソラを頼むよ。僕はアイリスの相手をする」
『任せておけ、どのような姿になろうと関係ない!』
もしも、あのひび割れが失敗のせいだったら!ヴリトラには勝てない!
「気をつけて!初めての変身だから、失敗してるかもしれないわ!」
『大丈夫だ。本能で判る。変身は成功している』
ひび割れた体。とても防御の強いドラゴンとは思えない……。
でも、信じるしかない。ヴリトラを抑えられるのは、フィソラだけ。
私の相手はレグルス!彼を止める!
「「速き動きの象徴よ、その動きの素早きを我に与えたまへ “クイックウインド”」」
私と彼、同時に魔法を唱えた。私達の足を小さな竜巻が包む。
「アイリス……、君には終わるまで眠っててもらうよ」
そういって、レグルスが走り出した。ヴリトラも、フィソラに向かって飛んでいる。
声が聞こえる。
「癒しをつかさどりし水よ かの者に安らぎの時を与えたまへ」
呪文!避けないと!
「“スリープミスト”」
彼の周りから霧が発生した。眠りの霧、吸い込んだら、すべてが終わる。
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