扉を開けて外に出ようとした。一刻も早く、彼を止めないと。
「アイリス。もう少し待つんじゃ!あと少しで……」
ウロボス様が私を止めた。でも、
「申し訳ありません。急いでおりますので、お許し下さい……」
走って、村の中心に来た。
人は来ない。きっと、私が怖いから……。
人が居ないなら、フィソラが踏みつけてしまう心配も無い。
「フィソラ。この村を走り回って。家にぶつかりそうになりながら……」
『なにを言っている!そんな事、すべきではない』
「……お願い。フィソラ!」
指輪が光り、目の前には光の玉。遠くの村人が騒ぎ出す。
『アイリス。どういうことだ!』
「お願い。今は……今は言ったとおりにして………お願いよ……」
間をおいて、フィソラがつぶやいた。
『……壊さなくて良いのだな』
フィソラが走り出した。村人が怖がり逃げ出す。
これで、私は完全に村人の敵。フィソラに村を荒らさせる悪魔。
ほんとに、この村では名実ともに悪魔になっちゃった………。
もう、後戻りは出来ない。
「もういいわフィソラ。帰るわよ」
『分かった。すぐに行こう』
帰ったらすぐに、家を出る。
村人の罵声の中、フィソラと一緒に家に帰った。
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