そういえば、あの夢の続きはどうだったかな……
確かあの日、初めてアイリスと出会って……どうなったっけ……。
いや……そんなことを考えてる場合じゃないな。
シリアを襲った時アイリスが来ていたらどうしようもなかった。もっと慎重に動かないと駄目だったな。
次にフーリーを襲うなら、夜……今か明日の晩にしよう。それならアイリスに見つかる心配はない。
考えているうちに、フーリーの家に着いた。
襲撃犯に怖れてか、周りは柵で囲まれ、入るのも難しい……ように見える。
僕なら分けなく入れるけど……二重の罠かもしれない。調べた方がいいな……。
ポケットから一体の使い魔を取り出した。ヴリトラの技だ、何体でも出してくれる。
翼の生えた異様な生き物。まるで悪魔のような姿をしていた。
「中を探ってきて欲しいんだ、頼むよ」
小さな声で頼むと、翼を広げ飛んでいった。目を閉じて集中すると……使い魔の見ている光景が見えた。
庭には、落とし穴が多数。
柵を乗り越えた途端、「ドスン」だ。やっぱり調べてよかった。
「落とし穴の中に入ってみて」
崩す事も無く、地面をすり抜けた。かなり深い、3メートルぐらい……。
気をつけたほうがよさそうだな。
「今度は家に近づいて。音を聞きたいんだ」
落とし穴から抜けて、家の壁へと迫る。
声が聞こえる
「アクア!俺の近くに居ろ!主人を守れよ!」
アクア、たしかフーリーのパートナードラゴンのはず。
「もうすぐ最後だなアイリス。おいアクア!近くに居ろ!
明日の朝早くなら誰も起きていないし、襲われる事もない。手始めに。おいアクア!
アクアの力で家を壊せれば苦労はないのによ〜。こいつ言う事聞きやしねえ。
とりあえず、家を壊せば……アクア!離れるなって言ってるだろ!家を壊せば、出て行かざるを得ないはず」
反省の色が無いのは良く分かった。
怖くて動けないなら、ギルバートさんの言った通りにできたのに……残念だよ。
「戻って」
目を開けた。もう十分わかった。彼は、倒さないといけない。それも今日。
アイリスに何かするなんて、許せない。
「ギルバートさん。ごめんなさい、やっぱり……僕は続けます」
空を見上げ、小声でささやく。なぜだか、伝えないといけない気がした……
使い魔が、僕のもとに戻ってきた。
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