暗い……もう夜。
眠っていたのか、あんな夢……見たくなかったな……
『どうしたのだレグルス。うなされていたぞ』
心配そうにヴリトラが尋ねる。
「大丈夫だよ。少し昔のことを思い出したんだ」
今僕たちは、新しい我が家。洞窟に居る。
『ギルバート殿の事は……残念であったな。彼の最後の頼み……聞き入れぬのか?』
「聞き入れない。僕のやり方なら、アイリスは間違いなく幸せになるはずだから。
ただ、ギルバートさんの最後の頼みを無視するなんて、僕にはできない……。一度だけチャンスを与えてみるよ。
どうせ無駄に終わるだろうけど……駄目なら、また続けるだけさ」
ギルバートさんが谷に落ちて、もう5日……。忘れる事は出来ないだろうな……
アイリスには、彼が村を出たと伝えた。信じてなかったけど、他に方法も無かった。
もうそろそろ残った1人、フーリーの様子を見に行くか……
「ヴリトラ、そろそろ行ってくる。ここは頼むよ」
シリアは、十分怖がっていた。彼の最後の頼みもある、様子を見ることにした。
すでに使い魔を放っている。ショックで家から出ていないようだ。
もしもギルバートさんとの約束を破ったなら………、もう一度。
もう一人、フーリーの様子によっては今からでも!
でも、場合によっては………ギルバートさんの言ったとおりに。そうなれば一番いい……。
『見つからぬようにな。行方不明のほうが動きやすい』
「そうだね」
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