第5章:レグルス


−−−−−−5年程前−−−−−−−−−

「おい、化け物!さっさと村を出て行けよ!」

前から嫌っていたイドロットに、急に後ろから殴られた。

「何をするんだ!」

「決まってるじゃない!あなたを追い出すのよ!

始めましてレグルス!わたしはシリアよ」

前に回りこまれた。逃げる場も無いまま後ろから蹴られた……。

「おい、腕に抱えてる奴こっちに渡せよ!そうすりゃ、今日は勘弁してやるよ」

ヴリトラを狙ってる!

「駄目だよ!僕のパートナーなんだ!」

腕に強く抱えた。渡してたまるか!

「親分の命令に逆らうのか?よろしくな俺はフーリー。長い付き合いになるぜ」

三人目が僕の頭を地面に押さえつけた。

「渡す気がねえならやっちまえ!」

イドロットとフーリーが僕の背中を踏み、蹴り、殴る。

守るんだ………ヴリトラが小さいうちは、僕が守るんだ……。

「何やってんの!どきなさいよ!」

声が聞こえた……。さっきの召喚で、エンシェントドラゴンを呼び出した女の子だ

「何だ!アイリスじゃねえか!おまえも後からやってやるよ。そこでおとなしくしてんだな!」

「冗談じゃないわ!あなた達こそ、そこでおとなしくしてなさいよ!

さっき人を呼んだわ。もう来る頃よ!」

ありがたい。大人が来たら何とかしてくれる。

「クククク……おめでたい奴だな!来るわけねえだろ!

さっき聞こえなかったのか?大人だっててめえらを嫌ってんだよ!」

「それでも、こんなやり方を許す人が………」

「居るんだな〜これが。俺の親父がうまい事言ってんじゃないかな?

今頃みんな………知らん振りを決め込んでるぜ!」

こいつ、親のドラゴンが強いからって!

「生意気な口利いたんだ………今すぐ痛い目に合わせてやるよ!」

「いいわね!その子の顔グシャグシャにしちゃって!そうしたら、わたしがこの村一の美少女よ!」

僕には声しか聞こえない。

エンシェントドラゴンの鳴き声、まだ力になれないはずだ……。

女の子の悲鳴。向かってゆく足音……。僕だって!

強引に立ち上がる!フーリーが派手にこけた。体が痛い。

「その子に手を出すな、イドロット!シリア!」

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