「シリア!今のうちに逃げろ!」

走って逃げていった。これで、時間は稼げる。稼いでも勝ち目はないが……

「ギルバートさん!あいつらのやった事あなたも見たでしょう?どうしてそこまでするんですか!」

やっぱり心底悪い奴じゃないな。昨日会ったばかりなのに……俺を撃って完全にあわてている。

感情を殺しきれなくなったか………。目の前が暗くなってきた……。

「決まってる……!アイリスが……望んでいるからだ!……言ってたじゃないか………

仲良く暮らしたいって!…………

今が、……そのチャンスなんだ………」

「……………」

『レグルス!奴らが何をしてきたのか忘れたのか!今更奴らを信じられるのか!』

「そうだね……。覚えててください、ギルバートさん。望みどおりにしてもそれが幸せの近道とは限らないんです

行くよ!ヴリトラ!」

『乗れ!すぐに着く!』

レグルスがヴリトラに乗ってシリアを追いかけた。

「くそ!止まれ、レグルス!ヴリトラ!」

走ろうとしたが、体が痛む!動けるのだって奇跡だ。それでも………。

痛い体を、引きずるように走った。もしかしたら、歩くよりも遅かったかもしれない。

それでも俺は、1つの光を信じて、シリアの向かった方向。崖へと走った。

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