「なんだ!?ちょっと行って来る。アイリスを頼んだぞフィソラ!」
『もちろんだ』
「待ってギルバート!私も行くわ!」
アイリスが呼び止めるが、聞こえなかったことにした。
村人が来たのかもしれない、だったらアイリスは知らないほうがいい!
音のするほうへ走った。木が抜ける音や爆発音が聞こえる。明らかに自然の音じゃない。
ただ、そんなに大きい音じゃないから、村には聞こえないだろう。
音が聞こえるのは、温泉の後ろ辺りだな
全力で走った。もう少しで着く。
「きゃーー」
この声は!あの黒髪の女じゃないか!追い出しに来た訳でも無さそうだ。……ほっとこうか……
いや、命がかかってる場合なら別問題だ。とりあえず行ってみよう。
黒髪の女が突然前から飛び出してきた。俺にぶつかり二人ともこけた。
「何でこんなところにいるのよ!邪魔よ!」
「おい、黒髪……。助けに来てやったのにそりゃないだろ!ただでさえ気が乗らないんだ!帰るぞ!」
「困ってる人をほったらかして帰る気?悪魔!それからわたしはシリアって立派な名前があるの!」
助けてもらうってのに、この態度はないだろ!
「……帰る。もう会わないでくれよ、黒髪あらためシリアさん」
立ち上がり、そこから離れようとする。あの態度じゃあ、命に危険はないだろう!
ほんとに危険なら、俺にでもすがる筈だ。
「待って!お願い帰らないで………。助けて…………」
泣き始めた、今更かよ!……仕方ない。
「もう俺達に手を出すなよ!それが条件だ!イドロットたちも止めろ!」
「……分かったわよ……もう追い出すのはあきらめるわ、二人も説得する!だから助けて!」
……さっきまで、これでもかって程怒ってたのにな。何で助ける気になっちゃうかな……俺……。
急に辺りが光った。紫色の光だ。
木が倒れ、ヴリトラがいた。
「来ないでよ!化け物!」
って、ヴリトラがシリアを襲っていたのか!?
『ギルバート殿……そこを退いて頂きたい。我はそこの女に用がある』
「ヴリトラ!どういうことだ!レグルスはどこにいるんだ!」
「ここにいます」
ヴリトラの陰から、レグルスが現れた。
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