「お帰りギルバート!」

アイリスが、俺に笑いかける。あまりのかわいさで、後ろに無いはずの花が見えた。もうすぐ俺が消してしまう花が。

……さっきの話を言わないと………、言え俺!

「昨日の夜、召喚が成功したの!外で見せるわ!」

「そうか、良かったな……」

「どうしたの?村の人たちに何か言われた?」

笑顔のアイリスには言いにくい、俺は……。言え!俺!

「どうしたのってば!何かあったの?」

笑顔が曇った。駄目だ!俺にはアイリスの笑顔を消す事は出来ない!

「そんな事ないさ。誰とも会わなかった。それより早く召喚を見せてくれよ!」

わざわざ辛い事実を話す必要はない……アイリスは言っていたじゃないか!

(私は、仲良く暮らしたいだけなの……)

そんなアイリスに伝えるのか!村人が本気で俺達を追い出そうとしていると……。

もう……あんな顔はさせない!俺が守り通せばいい!

急にアイリスが微笑んだ。

「もしかしてレグルスの事?さっき家に来たわ!彼は無事よ!」

「え?行方不明なんじゃないのか?」

無事だったか。ここに来る余裕があるなら、大丈夫だな。まずは一安心って所か。

「子供の頃洞窟を見つけていたの。今更使うことになるなんて、思わなかったわ!」

笑顔で話すアイリス。

「ずいぶん用意がいいんだな………」

「隠れる場所が必要だったの……弱いうちは私がフィソラを守らないといけないから……」

そういや長老も言ってたな、抱きかかえられるほど小さいって。

「なんにしても役に立って良かったわ!だから何も心配する必要はないでしょ?」

ああ、もう心配しなくても大丈夫だ。俺が何とかする!

「そうか、安心したよ!ところでそろそろ召喚を見せてくれないか?」

「少し待って!朝ごはんだけ食べましょうよ。もう出来てるわ!」

机に目を向けると、ミートスパゲッティ。いい匂いもするし、うまそうだ。……今度こそ大丈夫かもな……。

「じゃあ、さっさと食うか!」

イスに座り、フォークを握る。一口目を口に入れる。どっからでもかかって来い!

「う………」

やっぱり止めた……。かかって来るな!ソースのかかったミミズども!

これは何の味だ!?

アイリスはやっぱり笑ったままだ。俺の食べる姿を見ている。

心に決めた。明日からは俺が作る!それにしても……アイリスは気づいてないのか?

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