第4章:疑い、そして………原点
物音で目が覚めた。確かケーキを食べたあと、倒れるようにして寝たんだった……。
「起こしちゃった?ごめんなさい」
アイリスが玄関から入ってきた。髪が濡れている。
「お風呂に入ってきたんだけれど、起こしたほうが良かった?」
「いや明日の朝早くに入るよ、それより、もうかなり遅いよな?こんな時間から入ってきたのか?」
急いで料理をする時間。俺の感覚だと7時ごろ。材料の確保と調理。この森の中だし、少なく見積もって、1時間。
そこから食べる時間……ステーキ30分。ケーキに1時間半……食えたもんじゃなかった……。
それに加えて俺の寝ていた時間。腹の落ち着き具合から、ざっと2時間半。……もう日にち変わってるぜ!?
「遅いけど、やっぱり毎日入らなきゃ!そうでしょ?」
当然ではあるが、こんな遅くに入るより俺のように明日の朝に入るほうがいいだろう。
「朝風呂のほうが気持ちいいんじゃないのか?」
「朝は……村の人も来るから………」
少し辛そうな顔になる……。レグルスも似たような事言ってたっけ………。
「……そうか。ごめんな……、もう寝るよ!おやすみ」
悪いこと……訊いちまったかもな……。
次に目が覚めたのは、朝早くだった。
日が差し出してすぐ、さすがに今なら、村人にも会わないだろう。
好き好んで朝早くに起きる奴なんてそうは居ない!
我ながらいい時間に起きたもんだ!
昨日遅かったし、アイリスを起こさずそっと家を出た。家の隣ではフィソラが寝ていた。
食事中は帰ってこなかった。夜中にアイリスと話したときにも気配がなかった。
夜中に何をしていたんだ?……まあいいや。さっさと風呂に入ろう!
森を抜け村に出た。
誰もいない………どころか、大騒ぎになっていた!
とりあえず……風呂に行ってからだな。
こんな中を堂々と歩いたら、また何を言われるか分かったもんじゃない!
とはいえ、何が起こったかも知っておきたい。
……風呂から上がった頃には、野次馬も少なくなってるな。
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