俺が眼を覚ますと、うまそうな臭いがする。
「目が覚めた?ちょうど出来たわよ!」
声のしたほうを向くとアイリスがいた。いつの間にか寝てしまったのだろう。
忙しそうだし手伝おうと思ったのだが、結局任せてしまった。
机を見ると、ステーキだった。かなり分厚い肉だ。
「フィソラに獲ってきてもらったの。鹿の肉よ」
って自給自足!そんな事まで自分でしてるのか!?
村で買い物も出来ないから、仕方ないといえば仕方ないが……。
「鹿肉は珍しいな……。初めて食べるよ」
初めての物というのは心配もあるが、アイリスだって食べているのだから、きっと大丈夫だ。
というより、そうであって欲しい!
「ところでフィソラの分は無いのか?二人分しかないな」
机の上には肉の乗った皿が2枚。料理を運ぶならここを通らないといけないはずだ。
「フィソラは、生の方が好きらしいの。他のドラゴンは調理した者を食べるらしいけど……
変わってるわよね」
そうなのか、せっかくのアイリスの料理なのにな……。今頃外で肉にかじりついてんだろう。
「早速食おうか。うまそうだな!」
「そうね、早く食べてデザートのケーキに移りましょ!」
二人でイスに座り一口めを口に運ぶ。
「んっ?」
味がなんかへんだ……。食べられないほどではないが、臭みが強い。
これが鹿肉か。変わった味だな。
ステーキを食べきり、アイリスが食べ終わるのを待つ。
「先にケーキ食べる?もう切ってあるわよ」
アイリスが、そう言ってくれるが、
「いや、待ってるよ!一緒に食べた方がうまいだろ?」
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