「アイリス!大丈夫?」

レグルスが呼びかけるが、返事は無い。理由は分かっているし、ほっといて大丈夫だろうけど……

「とりあえずベッドに寝かせよう、どの部屋かわかるか?」

「この村の家はほとんど同じつくりなんです!多分こっちに……」

レグルスの言った部屋をのぞくと、確かにベッドが在った。

一人だけ何とか寝られる程度の小さなベッドだった。

レグルスがアイリスを抱き上げるが、躊躇なくお姫様抱っこ!?

もし目が覚めてても、今気絶したな……。

そのままベッドに寝かせた。

「……アイリス……」

レグルスはアイリスの手を握り、心配そうに見つめている。

「大丈夫だって!熱も無いんだろ?」

「それはそうですけど……。やっぱり心配で……」

俺やりすぎちゃったか?とどめを刺したのは、レグルスなんだけどな……。

「絶対大丈夫だって!訊きたい事があるんだ。来てくれないか?」

「駄目です!それどころじゃ、ありません!」

理由を知ってれば、そんなに心配しないんだろうけど。俺が言うわけにもいかない……。

とりあえず、お茶を持って近くへと向かった。

「この村の家が同じつくりだって言ってたよな。どんなつくりなんだ?」

住むからには家のつくりぐらい知っておいたほうがいい。

「基本的には、さっきまで居た一番広い部屋。あとは人数分の寝室とキッチン、それとトイレぐらいです」

俺のほうを向かず、アイリスの顔を見つめたまま説明してくれた。

「風呂とかどうすんだ?」

「近くに温泉が湧いているので、そこに行くんです。

僕たちはかなり遅くなってから、入りに行ってます。その方が村人と会いませんから」

なるほど、フィソラが居るとはいえ、アイリスの場合寝室は一部屋で十分。

風呂も無いから、広い場所も必要ない。

だから、村のどの小屋より小さいのか。

そういえば、レグルスはずっとアイリスの手を掴んでいる。

起きた途端にまた気絶したりして……

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