話し終え、小屋の外に出る。なんとなく中央の泉に目をやると、アイリスがいた。
話をしようと歩いて向かう、だがその前に3人の子供がアイリスに駆け寄る。俺やアイリスと同じくらいの年齢だ。
ブタのような顔で太った男、やせていていかにも弱そうな男、狐のような顔だ。
もう一人は、整った顔で黒髪の女性。アイリスには負けるが、綺麗だ。スタイルは、すごくいい。
「おい疫病神!何で村に来てんだ!」
太ったブタのような顔の男が意地悪そうな顔で叫ぶ。周りに聞こえてもかまわないらしい。
「その通りだ。お前が来ても、ろくな事になんねーよ!はやく帰れ!」
その後ろから、痩せた男も叫ぶ。こいつの子分か?はっきり言ってムカつく。
これ以上俺の恩人に手を出したら、殴り飛ばしてやる!
「疫病神なんて、まだ優しいじゃない。悪魔でいいのよこんな女!」
極め付けに、黒髪の女がそう言った。ふざけんなこいつら……。いきなり出てきてそれか!
「おい!おまえら………。」
「いい加減にしてちょうだい!
何で毎回毎回村に来るたびに私に突っかかってくるのよ!」
叫ぼうとした途端、アイリスが叫ぶ。さっきの太った男よりも大きい声で………。
あんなに元気な子だったのか……。
「俺様達は本当のことを言ったまでだろ?さっさと帰って、身支度を整えな!」
「その通り。村から出てけ!」
負けじと、叫び返す、太い男と細い男。アイリスも負けていなかった……。
「あら、あなた達こそ出て行ったらどうよ!
いまだに念話も使えないドラゴン使いが、この村に住んでていいのかしら?私は1ヶ月で使えたわよ!」
「そ、それはおまえが早すぎんだ!普通は2、3年かかるんだぞ!」
念話が一ヶ月!?天才にも程があるだろ!
「じゃあ、あなたは駄目じゃない!私達がドラゴンを召喚してからもう6年よ!情けないとは思わないの?」
「このやろう!村の邪魔者が、言い返してんじゃねえ!」
太った男が石を掴み投げようとする!まずい!アイリスの声にびっくりして止まっていた。止めないと!
再び走ろうとしたが、一歩踏み出したところで、太った男の腕を誰かが掴んだ。
「イドロット。それ以上手を出すなら、……僕が黙っていないよ」
男の声にしては高めの、きれいな声だ。
イドロットと呼ばれた太った男は、その声を聞くと石を放した。
石が落ち、その場が静まる。3人とも予想外だったらしい。
止めてくれたその男は、背が高かった。そして分厚い本を1冊腕に抱えていた。
体は痩せているが、男の腕を持ち続けている。力はあるようだ。
整った顔と青い目。短い黒髪の美少年……。
極めつけは、爽やかな雰囲気。
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