同時刻、リーリア付近。

「……。リーリアさん?」

心配して声をかける。意識は無いけど、大きな怪我も無い。

体が少し動く!口も少し動く!

「……もう食べらんない。おなかいっぱい。……」

…………。

寝てるだけ……。いろんな意味で、突拍子の無い人だ。

「元気そうですね……大丈夫そうに見えますけど、回復します?」

「念のために、しておきましょうか…。何が起こったのかもわかりませんし……」

私達は倒れる瞬間を見ていない。もしかしたら、酷いダメージを受けて気絶したのかも。

見ている夢は幸せみたいだけど……。

アルタイルさんの体が光りだし、姿が変わる。美しいユニコーンへと。

青いたてがみを持ち、角を持つ美しい白馬!

思わず私は見とれてしまった。

「どうかしましたか?」

綺麗な高い声でしゃべる。我に返った。

「何でもありません。回復しますね。

あらゆる命の源よ、その力を持って傷を癒したまへ “キュア・バブル”

大きな泡が出現し、リーリアを包む。

傷が癒えてゆく。もともと大した怪我はしていなかったが……

だが、まだ起きない。寝てるだけだし、当然といえば当然だけど……。

「リーリア、起きてください!」

アルタイルさんが大声を出す!

「あと……5分……」

「リーリアさん!」

私も少しいらいらしてきた。戦闘を捨てギルバート達を危険な目に合わせているのに。

突然リーリアさんが飛び起きた!

「あれ、フカヒレは何処?キャビアは?えー!デザートのマンゴーは?」

「リーリア……。いい加減にしてください」

おとなしく、静かに。だがハッキリと怒っている声で、アルタイルさんがささやく。

「ごめんごめん、でどうなってんの。頭に何かぶつかったと思ったら、豪華料理が山のように!」

近くを見ると、小さめの岩が落ちていた。……これが当たっただけ………。

「分かりました。“セイントヒール”」

角の先から出た白い光が、付近を染め上げる。だが、すぐに消えた。

「あなたにはこれで十分です。明日の朝には、そのたんこぶも消えているでしょう……」

少し怒り気味にそういうと、アルタイルさんが人の姿へと戻る。そしてギルバートたちのほうへ向かった。

「どうなってんの?アイリスちゃん」

かなり明るくリーリアさんが話す……。

「寝てたんです!」

悪い人じゃないんだろうけど、私は今怒っている。

それだけ言って、ギルバートたちへと向かった。

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