「大丈夫よ!今までの敵を見る限り、きっとこのゴーレムも、大したこと無いわよ!」

リーリアが軽く言った。そんな事をしている間にも敵の輝きは強くなる。

今にも攻撃してきそうなのに、警戒する様子が無い。

「皆さん、リーリアは、怒り出すと見境がなくなるんです。私達の話を聞いてくれませんし、こっちで何とかしないと……すみません」

「仕方ないですよ。それにしても……

アイリスみたい」
「何か言った?」

「いや、別に……」

小声で言ったから聞こえるはず無いのだが、感づいたか。

そのとき敵がリーリアの方へと飛んだ。体からぱちぱち音がする。体に雷を溜め込んでいるのだ。ぶつかれば…

『危ない!』

フィソラが火を吐いた。敵へと火が伸びてゆく。まるで蛇のように!

そのとき、敵の体が、ひときわ強く光った。その途端!周りを衝撃波が襲う。

敵が雷を放ち、火とぶつかった衝撃だ。俺達は強い風を受けただけだ。だが……

「リーリア!無事か?」

返事は……無い……。

火と雷がぶつかったのは、リーリアのすぐ上!どれほどの衝撃が彼女を襲ったのだろうか

周りを見渡す。岩壁にもたれかかるように、倒れている。

「アイリス、アルタイル。二人とも回復に回ってくれ。フィソラは俺と一緒に来てくれ。やつを倒す」

『私達がすべての攻撃を防ぐ、回復に専念してくれ』

「二人とも気をつけてね」

アイリスはそういうと、アルタイルと共に走り出した。

「さて、フィソラ。火は使うなよ。同じ目にあうぞ」

黙ってフィソラが首を縦に振った。会話できない俺達の、精一杯のやり取りである。

そして、当然ながら、その次のフィソラの一言も俺には聞こえなかった。

『ギルバート。お前こそ気づいているのか、敵を切るときお前の体に電流が流れるぞ』

気づいていたし、聞かれなくても大丈夫なのは幸いだった。

そして、そのダメージを受けず敵を倒す方法は、核を一撃で破壊する事!

今後の方針を決め、敵へと走る。斬りつける。

剣が空を切る……。敵の姿が消えていた。周りを見ると、離れた位置にいた

「さすが、風の属性ゴーレム。素早さが武器か」

敵のあの攻撃は溜めがいる!そして、打つタイミングはハッキリと分かる。

避ける自信はある!

だが、俺の攻撃も当たらない……。

フィソラの攻撃も簡単に避けるだろう。どんな攻撃も当たらなければ意味が無い!

「長期戦になりそうだな」

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