景色が白く染まる。周囲の穴から、一斉にゴーレムが出たからだ。

想像を絶する、数の多さ。幸いと言えば、敵の体の武器らしい武器が、金属製のくちばしのみ、と言う事ぐらい!

1,2匹当たってもたいしたことは無いだろう。だが、もしあの大群に突っ込めば、蜂の巣になると考えていい。

俺達に向かって白い壁が迫る。

「フィソラ!頼んだぞ」

現時点では、最強の攻撃力を持つであろうフィソラに話しかけた。

『任せろ』

きわめて温度の高い、青い火をフィソラが吐く。いつもの火は黄色。青いほうが威力が高い。

さらに火の勢いも強い。吐く火は、かなりの量だ!

敵の3分の2を倒す。3分の1がそのまま迫る。再度火を吐く!

すべて倒した。

「………」

「フィソラ、次お願い!アルタイルさん、リーリアさん。下がってください」

アイリスが、アルタイルたちが戦っている方向を指差し、告げる。

すでに半分を倒していた。これなら、

フィソラが火を吐く。すべて倒す。

「………!」

「よし全部倒したわね!」

アイリスが、笑顔で、当然といった感じで話す。

「アイリス…。驚かないのか?あの数をこの速さで倒す威力だぞ!」

「ファイアドレイクになったフィソラにファイアブーストよ、予想できたでしょ?

それに私の一族では、火属性ドラゴン定番の攻撃方法よ」

それが当然とばかりに、アイリスが言い放つ。

「予想できた?」

アルタイルとリーリアを見る。二人ともあわてて首を横に振る。

「そう?私はわかってたけど……」

そういえば、アイリスはあまりあわててなかったな……。

「でも、こんなところで変身を使っちゃったのは、まずかったわね」

それもそうだ。変身は1日2回の大技。もう使ってしまった。

「そうだな。変身が持つのは10分だったよな!先を急ごう」

まだまだ谷は続く。そしてこの先にも巣はある。まだ敵は出る!

せっかく強くなったのだから、今のうちに、

「そうよね、急ぎましょう!」

谷の出口を目指して走り出す。

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