速き動きの象徴よ、その動きの素早きを彼に与えたまへ “クイックウインド”

アイリスの魔法が全員にかかった。足を竜巻が包みこんでいる。

「よし、これで大丈夫だ。行くぞ!」

俺が走り出し、敵に迫る。敵も気づきこちらへと迫る。雷さえ受けなければ、恐い物なんて無い!

剣を振り下ろす。そしてそれはまっすぐ、敵の背中へと……。

「ギルバートさん。駄目です!核以外に攻撃しては……!」

アルタイルの声だ。驚いたが、すぐに気づく。

敵はさっき雷を打った、という事は…。敵の体に電気が貯まっていてもおかしくは無い!

斬るのをやめ、迫る敵を避ける。攻撃が失敗したと知ると敵も止まった。体が光りだす。

「どうすればいい!」

走ったせいで、みんなは離れたところにいた。大声でさっきとめてくれたアルタイルに呼びかける。

「リーリアの魔法でしとめてもらいます!そのままひきつけて時間を稼いでください!」

すぐに返事が返ってきた。敵は今、確実に俺を狙っている。俺が戦っていれば、余裕で呪文を唱えられる。

見るとリーリアはすでに詠唱を始めていた。

俺には、クイックウインドがかかっている。敵の攻撃を避け続けるなんて楽勝だ!

「ギルバート!気をつけてね!」

「大丈夫だ!任せとけ!」

心配してくれたアイリスにも声をかけ、敵に向き直る。光り具合は……そろそろか。

敵の体がひときわ強く光った。その瞬間横にとび、攻撃を回避する。

放たれた光の塊は、そのまま岩壁に当たり。消え去る……。

そのとき、リーリアの呪文が終わった。

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