「ギャーオ」
フィソラが敵を蹴りつけ、相手の腹が上に向く。
そこを踏みつけ、動きを封じる。
ようやく敵の動きが止まった。足が上を向いている以上潜れまい!
「ナイスだフィソラ。アイリス頼むぞ」
「もちろん!
大地に眠りし、鉄の塊、今敵を拘束する鎖となってかの者の動きを止めよ ”グランドチェーン”」
地面から無数の鎖が飛び出し、敵を絡め取る。
潜れないように、短い手を中心に、全身の自由を奪う
リーリアの呪文に備えてフィソラも飛び退く。
最後を飾るリーリアの呪文が始まった。
「この身を守りし土の力よ、土の精霊ノームの力を借りて、硬き鉱物の王の姿と変わりて、かの者に牙を剥け 突き刺せ ”ダイヤスティンガー”」
地中から無数のダイヤの棘がそそり立ち串刺しにする。
見事に核を貫いた!
敵の動きが止まり溶け出す。
「よし!俺達の勝ちだ!思った以上に苦戦はしたが、これなら何とかなりそうだな」
「そうですね。でも隕石の近くに行けばもっと強い個体がいるかもしれません。兜の緒を締めてまいりましょう」
「私の最期の魔法もすごかったでしょ!あれ威力はでかいけど、効果範囲が狭くてなかなか当たらないのよ。
アイリスちゃんが奴の動きを止めてくれて助かったわ。捕縛も出来るなんてやるわね!」
「ありがとう、でも私のも地上の敵にしか効果はないの。最初に敵を捕まえたフィソラが、一番の功労者ね!」
心からの笑顔で、フィソラに語りかける。
『褒めてくれるのはありがたいのだが、あの技の威力があってこそだ。私の一撃もあの魔法には及ばない』
「フィソラがあなたの魔法のほうがすごいって!」
「竜に褒められるなんて光栄だわ!!」
プライドの高い竜が、人を褒めるなんて、そうはない。リーリアは心底喜んでいた。
今回は、女性達の活躍が際立った。
ちなみにフィソラもメスである。
俺やアルタイルから見ると、女性に頼ってしまって少し寂しいのだが、頼りになるパートナーで嬉しい気もした。
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