俺達は、広く長い廊下を歩き、奥にあるはずの隕石を目指す。もちろんさっきの作戦を説明しながら。

「まず、最初にフィソラが加勢に来た時火を吹いてただろ」

「そうね。でもそのとき全く効かなかったから、フィソラは爪での攻撃に切り替えたんじゃないの?」

『その通りだ。火を吐いても、焦げ目1つ付かなかった』

アイリスの言うとおり、直接的にはダメージを与えられなかった。だが、火の持つ力はそれだけではない。

「そのとき、目に見えないところで変化が起きてたんだ!火の熱で、奴の体が乾燥していた」

「そりゃそうよ。あの熱量だもの、乾燥は起こるでしょ!いまさら当たり前のことを言ってどうするの?」

今度はリーリアだ。もちろん、ここまでのことはかなり大事な事だ!

「そのあと奴は、フィソラを追いかけてた水を、自分の体に当てただろ。ちょうどフィソラが火を吐いてたところにな」

「そのとおりです。ですが、その時には何も変化がありませんでしたよね」

アルタイルの意見も良く分かる。そう見えても仕方ない。だが、

「あの時、すでに変化は起きていたんだ。乾燥した木が一度に多くの水を吸ったから弱り、脆くなってた」

だから、脚に斬りつけた時に、他の部分よりも剣が深く刺さったのだ。

「でも、それだけなら、そのときに脚を斬り落としていたわよね!それはどうして?」

「単純に水の量が少なかったんだよ!だから、大量の水を吸わせれば、木はあれ以上にぼろぼろになり簡単に切れるって寸法さ」

みんなが、驚き俺を見つめる。気づけば単純な事だよな…!

「すごいじゃないの!どこでそんな戦法覚えたの?」

「アイリス、落ち着け!とっさに思いついたんだって!!」

「とっさであれだけの事をしたのですか?それこそ、大したものです。戦闘中にそこまで考えられるとは……」

「そ、そうか?ありがとよアルタイル!でも、気づけば単純だっただろ?」

「単純な所まで考えるのがすごいのよ!私なんて、昔読んだ本の中に何かなかったかと必死で思い出してたのよ!」

「そうなのか?リーリア……」

良く分からないが、知恵がなく、深く考えないのが幸いしたようだ。………ちょっと複雑。

「ところでリーリア。俺も訊きたいんだけど。アイス・クルスターだっけ、あの魔法アイスって付くのに、何で水が出たんだ」

「あら、それこそ簡単じゃない!使う魔力を調節すれば、凍るはずの水が凍らずにそのまま敵に当たるのよ」

話していると、隕石が見えてきた。

黒い小さめの岩だった。唯一違うのは、時々赤く光る事か…。

「これを壊せば終わりだな!」

「そうね。……終わらせましょう」

剣を振りかぶり、斬る!簡単に斬れて、光も治まる…。

「さてと……帰ろうか!」

声をかけてもと来た道を歩き出す。

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