声に出さないが、アイリスは寂しがっている。
仲間との別れ…俺はまた会えるさ、と割り切るのだが、アイリスはそうも行かないらしい。
今回は、特に頼もしい仲間と知り合った。別れるのが辛いだろう………。
「アイリス」
前を歩くアイリスに呼びかけた。
「……どうかしたの?」
アイリスが振り向く。笑顔……じゃないな……。顔は笑っているが、なぜだか寂しげな印象を受ける。
「俺も、フィソラも、お前から離れる事はないんだ。お前はけして一人にならない。
アルタイルとリーリアにも、また会うことがあるさ。いずれ会うんだし、悲しがらなくていいんだぞ……」
俺から言えるのは……これだけだ。
「大丈夫よ……。その通り……。またいずれ会えるもの………。」
空を向き、アイリスがそう言う。なぜだかその光景は、泣いている様にも見えた……。
『アイリス。ギルバートの言うとおりだ。悲しむことは無い……。いずれまた会えるさ』
「ありがとう……フィソラ。それに……ギルバート……」
「二人ともどうしたのですか?」
「早く来なさいよ!村に帰ったら、おなかいっぱい名物を食べましょ!」
先に行っていた二人が俺達を呼ぶ。
「行こうぜ、アイリス」
手を差し出し、アイリスを促す。
「そうね、どうせ別れるなら楽しく別れましょ!」
アイリスが俺の手をとる。手を繋ぎ一緒に駆け出した。
空は晴れ渡り、心地良い風が吹いていた。
村に着いたら、みんなで食事をしよう。そして、宿に泊まって次の朝には……。
目頭が熱くなる。悲しむなと言って、俺が泣いてちゃ世話が無い。
結局俺も…………別れは辛い!
〜〜Fin〜〜
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