俺は目を覚ました。生きているのか?

考えても仕方ない。生きているんだから、生きている。

声がする!

「そうね、……大丈夫よね!ゴキブリみたいな生命力。こんな化け物、見たことないわよ!」

アイリスの声だ。何とか目を開け、周囲を見る。俺を包むこのバリアーは、キュア・バブルだ

じゃあ、ゴキブリって……俺!?

「…ゴキブリとか……化け物とか、ひどすぎ…だろ」

かなり苦しいのだが、そんな事言われて黙っていられるか。

「ギルバート!良かった……。離れてって言ったじゃないの!バカ!」

「起きたら、いきなり…それかよ。傷に響く……怒鳴るな。

ありがとう……心配かけたな」

頬に、涙の跡があった。泣いてくれたのか……。

「心配なんてするわけないでしょ!バカ!」

顔を背けられた。だが俺は見た!頬が赤くなっていた。

「まあ、そういうことにしとこう。でも感謝している。ありがとう」

アイリスは動かない。一体今、どんな顔をしているのやら。

「ところで、どうなった。敵は倒したのか?」

もう、だいぶ回復した。少しなら力になれるだろう。

「まだよ、アルタイルさんとリーリアさんたちが戦っているわ」

「ならすぐ戦闘に戻ろう。これはいつ解けるんだ」

「これ」は、もちろんキュア・バブルである

「あと2時間ぐらいね。そういうと思ってかなり長めにしといたわ」

「2時間!戦闘はどうするんだ!」

「死にぞこないは黙ってて、私の回復魔法は、万能じゃないのよ!

最上級の回復魔法は万能、死人でなければ完治するわ。でも私のは、自己回復に力を貸すだけなの。

見えないところで体が悲鳴を上げているのよ」

知らないはずはない。だがそれでも二人だけに任せるわけに行かない。それは……アイリスも同じ。

「行くのか?」

「ええ……。フィソラ!」

指輪の光とともに、再度フィソラが現れる。

「行くわ、敵討ちよ!」

「俺は死んでない!縁起でもない……!」

『アイリス、行こう!仲間の敵をとろう!』

「そうよ!敵討ちよ!」

「だから違うって!」

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