氷でできたゴーレムであった。ひれが怪しくきらめく……!!
トビウオのゴーレムが飛んで来た。あのきらめきは、刃物の光り方だ!
「我らを守りし強き鎧よ、ここより3の空間を隔て、かの者の攻撃を防ぎたまへエリアディフェンション」
アイリスが皆の中央に立ち、呪文を唱える。半球状の透明なバリアーが、俺達を囲む。
飛んで来たゴーレムは、バリアーにぶつかり崩れ去る。
「ありがとうございます、アイリスさん。助かりました」
「ナイスよアイリスちゃん!私も助かったわ、この大群がぶつかってきたらと思うとぞっとするわね!」
話している間にも、ゴーレムがバリアーにぶつかる。数が多い。徐々に小さな傷がつき、それが大きくなる。
「おい、アイリス大丈夫なのか?これが最後の砦だぞ!」
バリアーが破られた瞬間、無数の刃物が俺達を襲うだろう。
リーリアの魔法も、ここで使えば巻き添えを食う。
こうなったら持久戦だ。アイリスに頼るしかない。
「これぐらい何とかしないと、ドラゴン使いなんて言ってられないわ!大丈夫よ」
そういっている間にもひびが入る。もうそろそろ限界だろう!
アイリスが奥の手を出した。
指輪に、紅炎玉という宝玉をいれる。
『出番だな。任せておけ』
「フィソラ、一撃で決めて」
バリアーの外に、光が現れる。その瞬間光から黄色い炎が勢いよく出る。
光に気づきフィソラに向かった敵もろとも、火で溶かされ蒸発する。
一瞬にして、敵が全滅した。
「フゥ。何とかなったわね。ありがとねフィソラ」
変身し、火属性のファイアドレイクとなったフィソラがこちらへ来る。
体の色は赤黒く、鱗が鋭利な刃物のようにとがり、爪は長く。
攻撃に重点を置いた、フィソラの姿。全身が武器のようだ。
『雑魚に変身を使ってしまったな……』
「仕方ないわ、出し惜しみをする余裕はなかったしね」
「何とかなったみたいだな。あれだけ一度に出たんだからもう居ないだろうが…念のため離れておこう」
ゴーレムを作ったアルマスも、同じゴーレムをこれ以上作ったりしてないだろう。
「離れさえすれば私の魔法で一掃出来るわ。みんな次は私に任せてね!」
リーリアはよほど自信があるようだ。それなら次は任せよう。
「じゃあ、そういうことで行こうか」
湖に背を向ける。そのとき視界の端に水柱が映る。
俺以外、気づかずそのまま歩いている。
スキだらけ、警戒など誰もしていない。
間に合え!
「敵だーー!!」
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