「アイリス、そろそろ行こうぜ!」
「分かったわ。今行くわね……」
残念そうにアイリスが戻ってきた。動物達もアイリスを見つめている。
今にもついて来そうである。
「それにしても、ずいぶんと動物に好かれていましたね。何かコツのようなものがあるのですか?」
アルタイルも興味があるようだが、俺としては以外であった。
「ユニコーンに変身できるんだから、動物に好かれやすいんじゃないのか?」
「確かに、そのとおりです。ですが、半獣にも限界はあります。
野生の動物に近寄れば、警戒されます。普通の人よりは、比較的早く仲良くなる程度です」
「そうなんですか?」
アイリスも驚いたようだ。ぽかんとしている。当然だろう。自分の才能は、素質がある人以上のものだったのだから。
「じゃあ、もしかしてかなりすごい才能なのか!?」
「いまさら気づいたの?すごいも何も、ドラゴンを扱える人も珍しいけど、それ以上に珍しい才能でしょうね!」
リーリアが、そう話してくれた。
「何でこんなところにいるのか分からないわ。あなたのその才能はもっと生かせるところがあったでしょ。
たとえばほら、今組織がやってるフェニックスの繁殖計画!あれなんかぴったりよ。
上のやつら、親にする個体がつかまらないって嘆いていたわよ〜」
そういえばそうだ。よく考えるとアイリスは、確かにその仕事に向いている。どうして行かなかったのだろうか。
ひょっとして俺と一緒に旅をしたいとか…。
なんだか天にも昇るような気分で考えをめぐらせた。が、次の瞬間完全に否定された。
「わたしは、この才能をそういうことには使いたくないんです。
そんな風に捕まえたら、まるで彼らを騙したようでしょ…」
アイリスが辛そうに言う。俺としてはガッカリだが、確かにそのとおりだ。
やさしいアイリスには、この才能をそういう目的で使うことは出来ないだろう。
「そう、ごめんなさい。余計な事言っちゃったわね!」
リーリアもその通りだと思ったらしい。素晴らしい計画だが、捕まったフェニックスからすれば迷惑だろう
「いえ、確かに一理ありますし、私の好みの問題ですから」
そういうアイリスの表情は、とても優しげだった。
「そろそろ行こうぜ!また村にゴーレムが入る前に、隕石を破壊しないとな」
「そうね……。行きましょう!」
湖の周りを歩き山へと向かった。
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