リーリアが呪文を唱える。

その瞬間、大きな水柱とともに、敵が出てくる。フィソラが流れを上へと向けたのだ。

万物を蹂躙せし竜巻よ、風の精霊シルフの力を借りて、新たな力を手にしこの地に集まり吹きすさべ、飛ばし切り裂け “ブレイドサイクロン”

敵を囲うように、バリアーが出現する。その丸い柱の底は水面上であった。

内側では、多くの竜巻が水を巻き込み、何が起こっているのかわからない。

魔法が解けたとき見たものは、青く輝く粒のみであった。

フィソラも浮上し、アイリスの元へ戻る。

だが、問題は残った。

「アイリス、これどうすんだ。まだ、1時間以上は解けないんだろう」

かなり長い時間のロス。急がなければならないのに。

「思ったより戦闘が短かったから、1時間50分ってところかしら」

微笑み、そういうアイリスは、「どうしましょ」といった雰囲気を漂わせている。

「いいじゃないの、属性ゴーレムが何体も出るはずないし。今のうちに休みましょう」

リーリアの発言も一理ある。だが、俺はこの狭い中ですることもなく1時間50分だ。

「そのまえに、ギルバートさんを回復させましょう。普通なら、あれだけの傷を受ければ助かりませんでしたよ。

治りかけている今でも、体にダメージはあるはずです」

確かに体が重い。これがアイリスの言った体の悲鳴なのだろう。

突然アルタイルの体が光りだした。足が細く、角のある馬へと変化する

青いたてがみ、そして高い声。まぎれもなく、美しいユニコーンであった。

そして首には、カバンをつけている。

「いきますよ“セイントヒール”」

光が俺達全員を包み傷を癒す

体の重さも消え、万全の状態へともどる。完全に戦える。

俺達を守り、戦ってくれたリーリアの小さな傷も完全に癒える。

「全体回復魔法セイントヒール、私の一族に伝わる技です。

これを受けたからには、どんな傷でも明日には完治しますよ」

アイリスの言った万能の回復魔法であった。

「ありがとな!アルタイル」

その後、湖に動物が戻ってきた。彼らが戻ってきたのなら、このあたりは安全ということだろう。

アイリスは動物と触れ合い。リーリアは自前の水着で泳ぎ、(どこから出したんだ?)。アルタイルは今後のことを考えていた。

そして俺は、キュア・バブルの中で寝た。
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