(そんなはずないじゃない。前で戦うギルバートを疲れさせちゃ駄目よ!意地でも代わってやるわ。)

速き動きの象徴よ、その動きの素早きを我に与えたまへ ”クイックウインド”

アイリスが、フィソラから飛び降り、走る!

「どうしても休めって言うなら、先に言って休んでいるわ。とくにギルバート!!あなた前に出るんだからおとなしく休んでてよ」

とんでもない頑固者である。こんなところで1人で進んではもちろん危ない。

「待て、アイリス。フィソラ急いで追いかけてくれ」

『言われなくても分かっている乗れ!飛ぶぞしっかりつかまっていろ』

フィソラが翼を広げ、いつでも飛べる体勢になる。

「フィソラ、言い忘れていた。俺を乗せてから行ってくれ!!」

『聞こえないのは分かっているが、そう言っているだろう。さっさと乗れ……』

「すいません。唐突で反応し切れなくて……大丈夫でしょうか……。」

「あの子無茶するわね。急いでいかないと危ないかも……急ぎましょう!」

俺が乗った頃、もうアイリスは見えなくなっていた。

フィソラが全力で飛ぶ。俺たちは落とされないように必死だった。

だが、アイリスは速さを上げていた。少しずつしか近づいていない。

少しすると、所々からマグマが湧き出す所についた。その時だった。

「キャー」


アイリスの叫び声がする。

「フィソラ急いでくれ!!」

『勿論だ』

我を守りし強き鎧よ、ここより1の空間を隔て、かの者の攻撃を防ぎたまへ ”エリアディフェンション”


アイリスが身を守る時に使う、結界魔法である。半円状にバリアーが発生し全方位からの攻撃を防ぐ。

「間に合ってくれよ」

願いつつ道を急ぐ!

角から光が見えた。出口だろう。

曲がった瞬間見たものは、バリアーが破られ、敵の一撃をまともに受けてしまったアイリスだった。

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