フィソラに乗ってからはかなり楽だった。敵も住みやすいところに向かうらしく見かけない。

「ありがとよ、フィソラ!歩かないだけでも随分楽だ」

俺だけではない、リーリアの機嫌も直ったし、絡まれていたアルタイルも開放された。

『そうか、それは良かった。このまま行けるところまで行こう、いつ敵と出会うか分からない』

そのとおりである、中にはこんな暑いところを好むゴーレムもいるかも知れない。大群ではないだろうが……油断は禁物だ!

「そのとおりね、頼むわ」

『ところでアイリス、乗らなくていいのか?』

「私はいいわ、足場も良いし、みんなに比べて暑くないしね」

アイリスは歩いている。あんなこと言ってはいるが、フィソラの負担を考えて、少しでも軽い方がいいと思っているのだろう。

だが、フィソラは逆に乗らないのが心配なようだ。

声は分からないが、さっきからそわそわしている。乗っているから動きがダイレクトに伝わる。

『本当に大丈夫か?疲れたらいつでも言ってくれ。もちろん今すぐでもかまわない』

「本当に大丈夫よ、心配しないで。ちゃんと考えがあるわ!」

アイリスはやさしい。実際は考えなんて無いのだ。ただフィソラに負担をかけないようにと意地を張っているのだ。

だがこうなったアイリスは頑固だ。いつもの事である。

もちろん俺が気づいているのだから、フィソラだって気づいているのだろう。

だから心配しているのだ。

アルタイルとリーリアも心配そうだが、どうしていいか分からないらしい。

当然である、今日知り合ったばかりなんだから。

「無理するなよ」

最期に一言…、声をかけて進み続けた。

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