宿は、唯一というだけあって、このあたりでは一番大きかった。
入ってみると、レトロなホールの中央のあたりにはたくさんの椅子があった。
ロビーだろうか。
「はあ〜疲れた。アイリス、座ろうぜ。
組織から、ほとんど歩いてここまで来たんだ。疲れただろ?」
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。
疲れたなら休んでいて、宿屋の主人に助っ人がもう来ているか訊いてくるから」
「ああ、ありがとう。
それにしても元気だな。何で疲れないんだ?」
「あなたが置いて行った後、回復魔法を使った上に一眠りしておいたの。
きっとこんな事になると思って」
やはり、人を置いて行くべきではなかった、一緒にいれば、俺にも魔法をかけてくれたろうに…。
なんにせよ、お言葉に甘えて座っている事にした。
アイリスはカウンターでいろいろと聞いている。
先についていても、まだだとしても、出発は明日にして欲しかった。
そんな訳にはいかないだろうが……。
いつしか俺は眠りについた。
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