話は変わるが僕みたいな流れ者が仕事を探そうと思っても勝手の分からない見知らぬ土地で仕事を探すのは至難の業だ

だが、流れ者の中にこそ有能な人物も多く存在する。

政府の人間もそこに目をつけた

つまり政府が流れ者に積極的に仕事を提示し、流れ者達がそれをこなす。

そんな体制が数十年前にはすっかり定着していた

そして今僕達が向かっているのは政府の下請け機関のひとつ『リバイアサン』

表向きはロード=ルーファウスが経営している酒場だが裏っかわでは流れ者専門の情報屋だ

「じゃあ報酬受け取ってくるから外で待ってろよ」

(私、この酒場は、キライ・・・)

アナスタシアは体高が約3メートル程あるためこの酒場だと入り口でつっかえて入ることが出来ないのだ

僕は手時かなカウンター席に腰掛けると酒場の主に開口一番こう言い放った

「よお、おっちゃん金よこせ」

「確認が済んだらな」

ロードとはそれなりに長い付き合いで僕はこの酒場の主を『おっちゃん』と呼ぶ

僕はポケットに納まっていたロードの使い魔を手渡した

使い魔は自らの巨大な瞳に映像を映し出し主に報告した

「ん、しっかり仕事してきたみたいだな、ほれ」

「ども」

ロードがカウンターの中から金貨の詰まった袋を取り出した

僕はそれを受け取ろうとしたが何故かロードは袋を引っ込めた

「まだなんかあんの?」

ロードは少しいいにくそうな顔で

「あー今思い出したんだが、俺の知り合いがお前に会って仕事の話をしたいっていうから会わせてやるって言っちまってな・・・」

「?」

「報酬足すから話に乗ってやってくんない?」

そういってカウンターからもう一袋取り出す

「・・・弱みでも握られてんの?」

もう一袋取り出す・・・

「・・・あのぉ」

いったい何があったんだ?

そして、もう一袋取り出す

「・・・・・・・・・だめ?」

かなり嫌な予感がしたのだがこれだけの現金を前にすると・・・なによりこの手の視線を受け続けると・・・強気に出ることが出来なかった

「・・・いちおう話だけは聞きに入ってやるよ」