結界を破ったその内側には別の世界が広がっていた

どこまでも続く荒地、どこか規視感を覚えるような光景だ

「ここはいったい・・・」

僕はアナスタシアから降り立って周囲を見渡した

すると、少しはなれたところに一つ人影があった

「へぇ、俺の結界を破るとはね・・・少しはやるじゃないか」

「――!」

僕たちは一斉に身構えた

「なにもそんなに身構えることはない、見たまえ、魔王の復活はもうすぐそこまで来ているのだ」

そう言ってその人物は両手を広げる、心なしか大地や空が脈打って見える

「あなたがサーフィス=ネオ・・・」

ミリィがその人物の名を口にする

「なんて強力な力なの・・・」

ハーメリアはその操る魔力の強大さに震えた

「お前・・・こんなもの復活させてどうしようって言うんだ!」

「新世界を作るのさ!この世界にはあまりにもゴミが多すぎる、ここまでくると一から作り直したほうが早い」

くっくっくっとサーフィスは嗤った、自分以外の人間を見下すかのような態度だった

「まるでクソ餓鬼の演説だな」

リックがため息をついた

「な、なにがおかしい!?」

「時間が無いらしい、さっさとぶっ倒すぞ!」

リックはサーフィスをあっさり無視すると跳躍、即座に抜刀モーションに入る

「この世界の神に向かっての暴言・・・許せん!!」

激怒サーフィスが『ファイアーボール』を放つ、だがその数が尋常じゃない、ざっと20〜30はある

「荒ぶる風の力よ、刃となりて刻め」


僕はとっさに『エアスラスト』を放ちファイアーボールを迎撃する

「二刀流剣術『双頭の鷲』」


2本の刀から強烈な闘気が放たれサーフィスを襲う

「ぬるい!」

ズバっとマントをはためかせつつ後方に飛ぶことによって攻撃を回避する

だがその先には

「憑依召喚『神楽』」


「燃え盛る炎よ、一面を焦土に変えよ」


「吹きすさぶ風よ、槍となりて穿て」


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!?」


咄嗟にシールドを張ったようだがこれだけの攻撃を無効化するにはいたらなかったようだ

「この下衆どもが・・・」

と呟いたその時だった

ごごごごごごごごごごごごごごごごご


世界に、亀裂が走った

「――!!」

(ギル、つかまって!)

僕はアナスタシアに乗り込むとハーメリア、ミリィ、リックを拾い上げる

「いったい何が起こっているの!?」

「分からない、とにかくここは危険だ、脱出するぞ!」

僕はこの世界から脱出する直前、一度だけ後ろを振り返った

「ふははははははははは、魔王の復活だ!この俺が新しく世界を組み上げるんだ!!」

「ふ〜ん、僕に隠れてそんなことしようとしてたんだ〜」

「き、きさま、なにものだ!!」

「この世界の『神』さ☆」

僕の見間違いでなければ、その『神』はペンギンの形をしていた・・・ような・・・気が・・・する?