囮役は僕とアナスタシアで引き受けることにした
ある程度の高度を稼ぐとわざと目立つような格好で敵の群れの中に突っ込んだ
当然、アナスタシアもドラゴンブレスをぶっ放しておくことを忘れない
(来るよ!)
「ワイバーンか!」
ワイバーンとは竜の一種、前足が翼に進化したタイプで他の竜と比べ体が軽くより空中戦に適した体をしている
アナスタシアよりふた周りほど小さいが決して油断してよい相手ではない
「荒ぶる風よ、刃となりて刻め!」
僕はいつもより威力を上げた『エアスラスト』を先頭の一頭に飛ばした
敵のワイバーンは十分に引き付けてからだったので回避できずに真っ二つになった
次にアナスタシアを斜め上方向から狙ってきたものに『ジャベリン』を撃った
『ジャベリン』の直撃を受けたそいつはばらばらになった
(しまった!後ろ取られた!)
「何!」
空中戦で後ろを取られることは命をとられることとニアイコールだ、後ろを振り返ると三頭のワイバーンが迫っていた
「振り切れるか!?」
(やってみる!)
僕は魔法での迎撃を試みるがなかなか命中しない、引き付けるなんて悠長なことを言っているとこちらがやられる
なんとか一頭を撃墜したものの残る二頭のブレスの射程範囲に入ってしまった
カッと口を開きブレスを撃とうとしたその時、巨大な稲妻がワイバーンを焼き払った
《油断するな》
リーファの援護射撃だ!
ワイバーンを失い算を乱したモンスター達は大混乱を巻き起こした
リーファの援護を受けた僕とアナスタシアは上空からのヒット&アウェイを繰り返し敵の魔物たちを追い払うことに成功した
「ギルバート、早く!」
その隙に城門を攻略したハーメリアたちが中庭までの通路を確保していた
「いくぞ」
(うん!)
短く言葉を交わすと無駄にでかい城門を潜り抜け中庭に向かった
「アナスタシア、結界だ!」
(大丈夫、突き破る!)
アナスタシアは躊躇せず結界に突っ込んだ
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