グレイス城が暗雲に包み込まれるのにそう時間はかからなかった

《準備は完了した、いつでもいける》

リーファが行った魔法の名は『天変』

刻一刻と変化する自然に合わせて魔法陣を書き換えなければいけない高等魔術だ

これほどの難度の魔法を扱えるリーファはいったい何者なんだろう

「いいか、俺がなんとか敵のワイバーンを引き付ける、その隙にお前らはドラゴンで突っ込め」

リックはそう言うと静かに突撃体勢に入る

「気を付けてね」

とミリィ

「死んだら承知しないからね!」

とハーメリア

「おう!」

リックはグレイス城の正門に突っ込んだ

「身体加速法『韋駄天』」


リックの速度がさらに加速する、この魔法は魔力を体内に高速に循環させることで身体能力を爆発的に上昇させる術だ

リックに気付いたモンスター・・・多分ガーゴイルだろう・・・が飛び掛ろうとするその瞬間に消し炭になった

ずがぁぁぁぁぁぁぁん!!

凄まじい雷撃だった

僕があんなのを食らったらきっと一撃でこの世から消し飛ぶにちがいない

リックはその隙に城壁を駆け上がりワイバーンを射程に捕らえた

「2刀流剣術『双頭の鷲』」


抜刀した刃から闘気が迸りワイバーンがずたずたに引き裂かれた

この技は剣術の射程を補うためのもので速さに特化した異色の技だ

だがさすがは竜族の端くれだけあって一撃では死んではくれなかった

ワイバーンは翼をズタズタにされながらもゴキブリ真っ青の生命力を発揮しリックに襲い掛かった

がしぃぃぃぃぃぃぃん!!

「ぐぉ・・・!」

ワイバーンの爪にメキメキと肩の装甲を破壊されてしまう

「リック!!」

アナスタシアの上でハーメリアが身を乗り出した

「馬鹿が・・・さっさと行け!」

「あれは・・・結界か!アナスタシア!」

(問題ない、突き破る)

アナスタシアは大きく羽ばたき、加速した

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