「アナスタシア、振り切れるか!?」
(やってみる!)
僕は空を飛んだガーゴイルたちに見事に足止めされていた
『エアスラスト』でまた数匹叩き落してやったが、それでもまだ行く手を阻むのに十分な数が残っている
「くっそぉ!」
一方のミリィは防戦一方だった
「逆巻く水の力よ、邪悪なる者を押し流せ!」
ミリィが突き出した弓から大量の水が現れミノタウロスに向かう
水系統呪文『アクア・ショット』
だがミノタウロスの放った豪快な『エアスラスト』に真っ二つにされる
ミリィは半ば飛び込み前転のようにしてかわすと次の矢を放つ
「憑依召喚“八幡烏”」
(ヒーハーッ!ひっさびさの出番だぜい!)
放った矢が紫に発光し声を放った、矢に憑依した八幡烏のせいだ
矢は右左と意思を持っているかのようにミノタウロスを襲う
が、いくら強化されていても元はただの矢、
(うお、硬え!)
ぬっと突き出した左腕にはじかれてしまう
「憑依召喚“神楽”」
(私の力、見せ付けて差し上げます)
今度は弓が白く発光する、弓に憑依した神楽のせいだ
ミリィが弓を剣に見立てて振ると、光の刃が数本飛び出してミノタウロスに向かう
ブシュッ、ズサッ
あちこちに傷が走るがミノタウロスは止まらない
(止まれデカ物!)
再び八幡烏が攻撃を加えるも戦果は浅い傷のみ
ミノタウロスがもう逃げ場の無いミリィに向かって斧を振り上げた
「ー―!」
「頭が高いぞ、鈍牛!」
がくん、とミノタウロスが不自然な動きで、あえて形容するなら拳骨を食らったような感じで、頭を下げた
ガーゴイルたちの間に動揺が走る
「よっしゃいくぜぇ『飛竜の番』」
リックが一瞬の隙をついて走る
「あっいいとこだけ取ろうったってそうはいかないから!」
ハーメリアが『ファイアーボール』を連発する、ただし今度のは威力を落とす代わりに言霊詠唱を省略する『無言法』
ガーゴイルに向けて怒涛の攻撃が飛ぶ
そしてミリィの前に黒い風が吹き抜けた
ただし、その右腕から血を流しながら
「剣舞一の舞『桜花』」
リーファの動きがいきなり不規則に変わりだし対応できなかったミノタウロスは一瞬にして両腕を失う
「永遠なる炎よ、その力を今ここに示せ」
リーファの全身から大量の血が噴出す、魔力を一度に使いすぎたのだ
ごおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・
リーファを中心に巻き起こった炎はミノタウロスどころか周りのもの全てを巻き込んで広がった
ただし僕たちを除いて
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