ぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!
突如現れた『でっかい何か』の攻撃をリックはまだ納刀していなかった方の剣で受けた
「がっ!」
が、衝撃を受けきることができず10メートルほど吹っ飛ぶ
「リック!」
ハーメリアが駆け寄る
ずしぃぃぃん、ずしぃぃぃん、と『でっかい何か』はこちらに迫ってくる
牛の魔人、ミノタウロス!!
通常の魔物からは一線を画す獣人型のモンスターだ
両手で持った巨大な斧はさっきの攻防で少し欠けてはいるものの当たれば必殺の武器であることには変わりない
身長はざっと4メートルくらいか
しかもざわざわと殺気をまとった気配が辺りから湧き上がる
こちらはガーゴイル、分類では下級の悪魔だが魔法を使用できるためオークやゴブリンとはレベルが違う
「囲まれたわね・・・」
ミリィの頬を汗が一筋伝う
ざわっ
リーファは躊躇(ちゅうちょ)することなくミノタウロスに突っ込んだ
一歩、二歩、三歩目でトップスピードに達したリーファは真っ向から大剣を振り下ろした
ミノタウロスも負けてはいない、斬激を半身になることでかわし斧を横振りで繰り出す
リーファは空中で身を翻す(ひるがえす)と斧の面を蹴ってさらに前に進む
しかし幾筋かの炎によって進路を阻まれ後方に着地する
「今だ!」
「「「ー!」」」
その一声で金縛りが解けた
各自一斉に散開し戦闘を再開する
「燃え盛る炎よ、一面を焦土に変えよ!」
ハーメリアが魔法を放った、デカイと言うよりもむしろ豪勢というほうが正しいのではないかと思われるほどの炎が辺り一面に広がる
炎に包まれたガーゴイルは跡形も無く燃やし尽くされる
上級火炎系魔法『煉獄』
まさかこの目で見ることになろうとは思わなかった
(ギル!)
「うわっ」
炎をかいくぐって突進してきた一体をかわし
「荒ぶる風よ、刃となりて刻め」
すれ違いざまに魔法を浴びせる、紹介が遅れたがこの魔法は『エアスラスト』と言い切れ味は真剣並だ
「アナスタシア、飛べ!」
(了解!)
アナスタシアが力強く羽ばたいて空に舞う、その下では急激な気圧変化でガーゴイルが3体身動きが取れなくなっている、これを逃す手はない
「大いなる大地よ、我の望みし姿に変われ」
巨大な腕を2本創り出しガーゴイルたちを押しつぶす、『錬金術』のまがい物を応用した魔法だ
「みんなは?」
(まって、すぐに探す!)
とりあえずの安全を確保した僕たちは他のメンバーの援護に回ることにした
リーファ、ミリィの組み合わせとハーメリア、リックのペアで戦っているようだ
「くっ、どっちに行く?」
@ミノタウロスと戦っているリーファとミリィのペア
Aガーゴイルたちと戦っているハーメリアとリックのペア