この程度の魔物なら作戦はいらない、最速で叩き潰す

これが僕たちの出した結論だった

少し距離を詰めると、僕、リック、リーファが一気に飛び出し、それと同時にミリィが援護射撃を行った

「ブレスだ!」

(了解!)

短く合図するとアナスタシアは強烈な炎をオークの群れに放った

俗に言うドラゴン・ブレスだ

直撃を受けた2,3は一瞬で消し炭になる

僕は突然のことにオークの群れが混乱している間に魔法を完成させる

「荒ぶる風よ、刃となりて刻め!」


そしてその呪文を抜き放った剣の斬激に乗せて飛ばす

長くも短くも無いその剣は、

生粋の剣士が使うには物足りないのかもしれないが、軽くて振りぬきやすいという長所がある

勢いに乗った真空の刃はオークの一匹を捕らえ、真っ二つにした

ぷぎぃ、ぴぎぃとオークが耳障りな声を上げる

そちらを向いているとリックが刀を両手に持って奮戦していた

「二刀流剣術『飛竜の番(ひりゅうのつがい)』」


同じく風をまとった二本の刀は削岩機よろしく迫りくるオークをこなごなに粉砕する

そのリックの傍らをゴオッと巨大な火の玉が通った

呪文自体は魔術師なら誰もが使用できる『ファイアーボール』なのだが異常にデカイ

普通それは手のひらサイズのはずだ

チュドーンと一昔前のマンガみたいな効果音と共に5匹ほどのオークが吹き飛ぶ

「あっ危ねえだろ!?」

辛くも難を逃れたリックが特大のファイアーボールを放ったハーメリアに文句を言うが

「省ける労力は省くもんなのよ☆」

と言われ少し青くなった

一方のミリィとリーファは即席の連携でオークをさくさくと倒していた

「裁きの光よ、雨となりてそそげ!」


ミリィが高々と飛ばした矢が光をまとい数十本に分裂する

『アローレイン』と呼ばれる技だ

次々と串刺しになり絶命するオークの間を縫って間合いを詰めたリーファが残った一団に肉薄する

追い詰められたオーク達が闇雲に棍棒を振り回すが

「遅いな・・・」

抜刀と同時に切り込んだリーファにはキズ一つつけることもできずに終わり

ドサドサッと数瞬遅れて崩れ落ちた

60体のオークが全滅するのにものの2分ほどしかかからなかった

「ちょろいね」

ひゅっと剣を振り血を飛ばしたリックの後ろで急激に殺気が膨れ上がった

「リック、後ろだ!」

とっさにリーファが叫んだ

「ーーッ!!」
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