21 もしも彼が、彼の諸々の抗議を通して、私が言ったことや書いたことを訂正するように強いられたことを証明することができたなら、彼は勝利を得たと思っただろうと、私は確信している。あるいは、もしも彼が彼の精神的な興奮によって、誤りを糾す代わりに、公表するように駆り立てられたなら、彼は確かに、私を攻撃するために、私がローマを離れるのを待たなかっただろう。なぜなら彼はそこで、私に面と向かって黙らせることができたかもしれないからである。しかし、彼は、自分が偽って行動しているという意識によって思いとどまった。したがって彼は、彼が中傷する諸々の文書の作者としての私にそれらの文書を持ってくるこなかった。その代わり彼は、それらの文書を運び回った――私的な家々に、婦人たちに、諸々の修道院に、キリスト教徒の一人ひとりに、彼の一方的な諸々の発言によって物議を醸し出しそうな所にならどこへでも。そして彼は、自分の諸々の行動を糾弾されて釈明を強いられないようにするために、まさに彼がローマを離れる寸前にそれを行った。その後、私の聞くところによると、彼は遺文の指導者の諸々の指図によって、イタリア中を隈なく歩き、私を非難し、人々を煽動し、諸教会に混乱を投げ込み、司教たちの諸々の心さえも毒し、あらゆる所で、私の忍耐を、私が間違っていることの承認であると触れ回った。それが弟子の手管である。その間、彼の指導者[1]は、東方に出向いていたが――彼は、ヴィジランティウスに宛てた手紙の中で、『私の努力によってラテン人たちは、オリゲネスにおける善きものの一切を知るに至り、悪しきものの一切を知らずにすんだ』と言っていた――、まさに私が訳した諸々の書物の検討に着手し、彼の新しい翻訳の中に、私が信用に値しないものとして除外した一切の事柄を挿入した。その結果、彼が誇示していたのと正反対のことが起こった。すなわちローマ人たちは、彼の努力によって、オリゲネスにおける悪しきものの一切を知るに至り、善きものの一切を知らずにすんだ。そのようなやり方で、彼は、オリゲネスにだけでなく私にも、異端の嫌疑をかけようと努めている。彼は、それらの自分の飼い犬たちを絶えず送り出して、あらゆる町と村で私を吠え立て、彼らの数々の中傷によって私を攻撃している――私が静かに旅をしている最中に。そして有言無言のあらゆる危害を私に対して企てている。私はあなたに尋ねたい。いったいどんな罪を私は犯したのか――私はあなたが行ったこととまったく同じことをしているのに。もしもあなたが、私があなたの先例に従っているということで、私を悪人と呼ぶなら、あなたはどのような判決をあなた自身に下さなければならないのか。



[1] ヒエロニムスをさす。

 

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