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<我らが消防>

「自警団」ってのがある。よく、テレビで青樹ヶ原の樹海の捜索とか、
地震の被災地とかの映像を見ると画面の端っこのほうでうろちょろしているハッピ着た人たちを見かけると思う。
黒地に赤いライン。背中に丸に囲まれた地名が入ってるヤツ。俺も、その一人。
都会では、見かけた事ない。

しかし、毎年「ポン操(消防ポンプ操方)」の全国大会があるから、
東京なんかにもあるのかも知れない。去年、その「ポン操」が当たってしまった。
一連の、小型消防ポンプの操作法、及び規律の正しさを競う大会。
「気をつけ」の時、指先の伸び具合まで審査の対象。大会には班長以下4名が出場。
俺は、3番員。主にエンジン操作を行う。

一番員「筒先」は、一番若いヤツ(しんちゃん)、2番員は、力持ちのさちおさん班長はマサツグくん。
俺は、幸いにも去年班長を終えている。班長は、覚えなければならないセリフが非常に多い。
班長マサツグくんの指揮のもと、俺達は馬鹿らしいほど真面目に整列をする。
審査員の号令の後、班長が「大字○×班、ただ今よりポンプ操方を開始します!
火点は前方の標的!水利は後方の防火水槽。手巻きホースによる一線延長、
操作〜始めぇ!」って叫ぶと他の三人がロボットみたいにカクカクと動く。
俺は、ポンプのエンジンを一発でかけなければならない。

ここでしくじったら2カ月間、朝は5時から7時まで、
夜は8時から10時まで続けてきた練習が水の泡だ。
普段「アホ臭くてやってられんなあ。」「ホンマに日本中でこんなことしとるんやろか?」
とか言ってるけど、本番になるとヤッパリ真剣になってしまう。結果は、町で1位。
めでたく哀しく郡大会出場。さらに一ヶ月の訓練が待っていたのである。
幸い郡大会では下位入賞で、次はなかった。

<自家用車>

車の保有率が異様に高い。
一家に免許持ちが3人いたら車は4台。4人いたら車は5台。
それが当たり前。何故か?田舎だからである。
その、プラス一台は軽トラック。周りほとんどが百姓だから。俺の先祖も百姓だ。
今も田んぼはあるけど、農協に全面委託してるからかろうじて非農家扱い。
そして、車は、平均保有率を遥かに下回る、2台。軽トラはない。

よく、大阪は交通マナーが悪いと聞く。確かに悪い。しかし、暗黙のルールの上で皆が走ってる。
これが滋賀県となると話は別。
もう野放し状態。公共機関がないから昔から交通手段は車。

もう、賞味期限を遥かに過ぎた老人が、昭和初期の交通ルールで車を運転しています。
一本の道に、100Km/hで走るヤンキーと、1速だけしか使わない軽トラ婆ぁとかが混在して走るから事故も多い。
事故が起きると大抵死亡事故。
滋賀県を通過する時は、気を付けた方がいい。
目に白い膜が張ったような婆さんが勘を頼りに走っている。

<生活水準>

しばらく前まで、行商が来てました。
週に2回。軽トラックに、野菜、ナベ、乾電池、炭、醤油、味噌、たわし、飴玉、
石けん、ノート、漬物石、バケツ、三角定規、バナナ、万年筆、缶詰、ありとあらゆる物を積んでやってくる。
公民館の前に来ると、車の屋根の上のラッパから割れた音楽がなる。
すると、移動手段のないお年よりがワラワラと集まって、
30分ぐらい雑談しながら石けんを掴んだり、袖でナベを磨いたりしながらショッピングを楽しむ。

「目加田屋さん。今度来る時はひとつ、けーきを持って来てくだはらんか?孫の誕生日なんやが。」
「おうよ。」
「うちら、今度、圧力釜欲しいわあ。」
「おうよ。」
「今度は、賞味期限過ぎとらんパン持ってきてなあ。こないだのはカビてたでぇ。」
「おうよ。」
注文の品を目加田やさんは鉛筆の芯を舐めながらノートに書き込む。
野菜類はまったく売れない。どこの家でも一通り作ってるから。

それが、今では、車で10分以内の所に、ジョーシン、ホームセンター各種、
ダイエー、西友、平和堂、BOOK BOX、ローソン、スパー、ありとあらゆる店が進出してきた。
東京なんかより、遥かに便利駐車場も広大だ。しかも、少ない人口に対し、店が増えすぎた。
過剰な価格競争のお陰で、驚くほど安く物が買える。
家電なんか多分、秋葉原の三分の二ぐらいだと思う。
開店日替わりサービスで並んで買った、子供のIBMコンピューターなんか3万4000円、俺のコンピより高性能。

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