平家の落人の集落

 ここ但馬には、平家の落人が住み着いたといわれる集落がいくつもある。今でこそどの集落にも車で簡単にいくことが出来るようになっているが、ほんの少し前までは容易に行くことが出来なかった。
 この絵の田久日といわれる集落へも人ひとりがやっと通れる獣道のようなような山道が1本ついているだけだった。小さい頃、竹野からこの田久日まで、その道を歩いた記憶がある。岩場につくられた祠を参ったことははっきりと記憶の中にあるが、誰と何のために参ったのかは分からない。

 この絵は貯水用の小さな小さなダムの上に腰掛けて描いた。背中の方は10メートル四方程度の貯水池になっていて、それをちょっとだけ見下ろすように立派な道路が取り囲んでいる。
 この絵では分かりにくいが、家に挟まれるように海に降りていく階段の道がある。下から上ってくるお年寄りからは「どっこいしょ、どっこいしょ」と声が聞こえるようだった。

2003,2,7

以前、この集落の夜のイメージを絵にしている。


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