牛頭のあるところ

 はじめて牛頭を描いてみた。あまりこういったものは描く気はなかったのだが、展覧会などに出かけると、牛頭を描いた作品に何点か出会っていて、その度にどういった気持ちで描いているんだろうと気になっていた。いざ鉛筆を持つと全く何の違和感もなく牛頭を見つめている自分を感じた。何せ形を取るのが難しい。色あいも微妙で苦戦した。

 牛は人間に食べられるためにこの世に存在していると誰かが言っていた。その反対に今まさに飢え死にしそうな人の横を牛が通っても手を合わせるだけで、その牛を殺し肉を食べさせようとはしない。

 人間の考え方は様々。

 でもこれだけは間違いない。それは、己の命を長らえるためには、他の何ものかの命を奪っているということ。

2002,8,15

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