床瀬の六月

 ついこの前まで萌葱色だった緑は、すっかり若い青に変わって、いかにも春の完成といった感じである。

 細長い竹野町の、もっとも南に位置する山間にある小さな集落の床瀬地区も若い青に包まれていた。梅雨に入る前の明るい春の日差しの中、集落の真ん中を流れる山椒川の水はこの日も透き通っていた。水のきれいな竹野川の源流がここにある。

 床瀬地区には何件かの「そば処」がある。山菜、川魚、そばなどをコースにして食べさせてくれる。けっこうな料理で、一度食べてみる価値はある。ここの料理が有名になったのは、かの土井勝氏がこの地の家庭料理であったそばを取り上げたのがきっかけだと聞いた。

 何年か前この集落を通る道路が整備され山際に立派なバイパスができた。田舎を求めてきた人たちにとっては、ちょっとがっかりかもしれない。しかし、その道路のおかげで隣町の日高高原まで竹野から30分で行けるようになった。冬はスキー場が近くなって喜んでいる。

2001,6,7


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