春の松本橋を望む

 松本の橋が新しくなってどれくらいたつか忘れてしまったが、今は両側に歩道のついた立派なコンクリートの橋になっている。
 それ以前の橋は木造で何回か台風の被害にあってきた。流されたこともあり、そんなときは「橋が流された」という知らせに、自転車に乗ってみんなで見に行った。

 今から40年も前にはこの絵をスケッチしているこの辺りは「釜石の洗濯場」としてにぎわっていた。記憶の片隅に、コンクリートでつくられたような洗濯場が残っているが、はっきりしない。しかし、そこには多くの人たちが洗濯にきていた。その光景はかすかに覚えている。

 向こうに見える松本橋の近くでは鮎がよく釣れた。毛針を使えば入れ食いだった。また、この釜石付近は鮎の産卵場だったようにおもう。今では放流した鮎を太公望たちが毛針を選びながら細々と釣っている。

 5月になって新緑におおわれた。あたり一面エネルギーに満ちあふれている。

2001,5,13


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