「路地は続いている」

 以前、この路地を描いたことがあった。「小さな坂の路地」としてのせているが、スケッチしているこの地点は、その小さな坂を上りきったところである。この路地と交わっている道路が竹野町で一番の繁華街といってもよい通りで、上町通りといっている。郵便局や銀行などがこの通りにある。平日はけっこう人通りもあるが、休日は本当に人が少ない。

 この路地は下町と上町通りを横切り、中町通りへと続く。そして、そこも横切りさらに東町を通り抜けている。
 今スケッチしているこの路地と、陰になっているすぐ目の前の路地は車の通れる広さではない。しかし、日の射し込んでいる辺りは比較的広い幅があり、その辺りまでは車は入ってこれる。ところが、陰になっているところは、向こうからこっちへくるにしたがって少しずつ路地の幅が狭くなっていく。

 その結果、悲劇が起きる。

 このことを知らない人が、中町側から車で上町通りに出ようと進入してくる。遠近法により狭くなるのは当然と思う感覚が、本当に狭くなっていることを読み切れない。どんどん進んで、前にも行けないバックもできない。

 そんなわけで、中町側に「この道路は通り抜けができません」という標識がついた。

 

 


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