川向こうの家

 竹野川の河口は船着き場になっている。

 日本海の荒波は堤防が防いでくれ、このあたりまで波があがってくることはない。川ではあるが、年間を通して安心して漁船などを係留しておける港といってよい。

 今では、河口はコンクリートでがっちりと固められている。この護岸ができる前は、確か、石垣になっていたと思う。石組みには隙間があって、そこにウナギが隠れていることがあった。竹籤の先に針をつけ、ミミズの餌でそのウナギを釣り出す漁法があった。
 かかったウナギをその石組みの隙間からゆっくりと引き出していくのだが、それは見事な漁法だった。
 もう何年もそんな釣りを見たことがない。

 子供の頃の記憶が一枚の絵として、しまわれている


 向かいの船着き場には、大きな古タイヤが2つ吊してある。船が傷つかないようにするためだが、風景の中にとけ込んでしまっていて、いいアクセントになっている。

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