夏の日 泳ぎに行く    いつも通る道 

 今年も、何回か娘と泳ぎに行った。

 海までの道はたいていこの路地を通っていく。車は通れない狭い路地である。そのせいか、いっそう向こうに見える砂浜と、海がまぶしい。

 泳ぎに行くのはたいてい午後からで、この道を、浮き輪や、水中メガネ、シュノーケルなどを持って、娘の「今日は、あの子とこんな遊びをしたとか、ウサギが暑そうだったとか」そんな午前中の報告を聞きながら歩いていく。

 たいがい、娘にせがまれて海に行くことになるのだが、出かけるまではおっくうでしょうがない。しかし、水着に着替えてこの路地まで来ると、もう海のことしか考えていない。娘の話に「ふんふん」と鼻で返事して、「今日も貝獲ってきていい?おまえの好きなやつも獲ってくるから!」「いいけど早く帰って来てえよ。」ときっちり娘に自分の要求を通している。テトラポットの副産物である。

 この前、娘と同級生の子のお母さんに会った。僕も娘もよく知っているのでその日は同じ場所で遊んだ。「竹野で育ったから海がとっても好きなんだけど、一人じゃこれないでしょ、この年になって。それに肌を焼くなんて格好できないじゃない、はずかしくって。だから子供をだしに来ちゃった。」そういった水着姿の彼女はうれしそうだった。


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