「竹野町漁港、漁協ビル」

 毎日午後4時半に市が開き、セリが始まる。漁協ビルのセリ場にはその日に水揚げされた魚介が並ぶ。市の始まる頃、この船着き場はかえってきた船でいっぱいになる。このスケッチの時はまだ時間が早く、みんな漁に出かけていて漁船はほとんどいなかった。船のいない漁港はひっそりしている。人影もなくちょっとさみしい。

 このビルの裏に竹輪、蒲鉾を作っている加工場がある。昔は加工場から出る煮汁などが川に流されていた。そこにはおびただしい魚が群がっていて、その魚を釣ろうと大人や子供が夕方になると大勢集まってきた。竹竿にテグスと針、ウキの簡単な仕掛けだったが、アジ、コノシロ、ボラ、サヨリなどがよく釣れた。竹竿がずらっと並び面白かった。

2002,11,20


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